不倫を離婚せずに円満に解決するための示談書の書き方

夫または妻が不倫をして交際相手と揉める場合など、そうしたトラブルの当事者になったり相談を受けることがあると、何とか早く円満に解決したいと願うものです。
不倫のために辛い思いをしつつも、離婚をすることなく夫婦の関係を修復する決意をしたら、問題を繰り返さないように対策をすることが必要です。
まずは当事者同士で話し合いをして、加害者側から被害者側に解決金を支払う等の条件で合意ができたら、その内容を法的に通用する示談書を作成して早期に解決を図りたいものです。
そのような示談で不倫問題を解決するケースについて、交渉の進め方と示談書の書き方を解説します。
<目次>
・夫婦関係の継続か離婚かの判断
・自主交渉するか弁護士に依頼するかの判断
・夫婦と相手方との交渉の順序
・話し合いで確認しておくこと
・示談書の書き方
・自分で書類作成するか専門家の行政書士に依頼するか
男女問題をこじらせて長引かせるのは一番避けたいところです。
話し合いをして、不倫関係は解消し、夫婦の信頼を回復するよう解決を図りたいところです。
夫婦関係の継続か離婚かの判断
不倫問題で最初に考えなければならないことは、婚姻を継続するか離婚するかの判断です。
まずは直接にパートナーと話し合いをするべきです。
言い逃れをされそうなら、具体的な証拠を示してから問い詰める必要があります。
LINEやメールの履歴で旅行や性交渉に関する記述があれば、それをコピーして確保したものを提示します。
特に証拠が無い場合は調査会社(探偵)に依頼して報告書を確保することも考えなくてはなりません。
夫婦の話し合いで、婚姻を継続し不倫相手とは別れるということになれば、すぐに不倫相手に連絡をとり、証拠がある事も告げた上で謝罪を求めます。
不倫相手が非を認めた場合は、慰謝料の支払いと以後の交際禁止を誓約する示談書を交わして早期解決を図ります。
(不倫相手が非を認めない場合は民事調停などの法的措置を検討する段階になります)。
もし離婚をするという結論になる場合は、パートナーには離婚慰謝料、不倫相手には不貞行為に関する慰謝料を請求ということになります。
離婚は家族を含めた大問題となるため、この選択をする場合は親や周囲の方にも相談して慎重な離婚協議をしなくてはなりません。
以下は婚姻を継続する場合の不倫問題の解決法について説明します。
自主交渉するか弁護士に依頼するかの判断
不倫を解決するための話し合いは不適切な交際に気付いた被害者側から持ちかけることが多くなります。
まずは電話やメール、郵便で相手方に対して不倫の事実を把握したこと、それを解決するための話し合いをしたいと申し出て、相手方がそれに応じてくれば条件交渉を経て示談を成立させるという流れになります。
不倫の加害者側の立場では、被害者側から責任の追及があった場合は速やかに謝罪をして関係解消をすることを誓約し、示談の条件交渉をしなくてはなりません。
こうした状況になったときには、相手方からの連絡を待っているだけでは不信感だけが募ることになるため、事実関係の確認と解決を図りたいという意思があることを伝える努力をする必要があります。
ただ、話し合いが通じない相手もいるので、次のようなケースでは裁判所の調停制度を利用したり、弁護士への依頼も考えなくてはなりません。
(1)加害者が自分の責任を認めず逃げ回る場合
(2)被害者の請求する損害賠償金の金額が過剰に高額な場合
(3)相手方が反社会勢力の構成員であって接点を持ちたくない場合
(4)相手方の連絡先がわからない場合
以上のようなケースでは、当事者同士の交渉が困難になるため、弁護士の法律相談を受けたほうがよいでしょう。
相手方との連絡が可能であり、相手方も事件を長期化することなく穏便に解決したいと考えていることがわかった場合には、示談による解決の可能性があるため、法律専門家に相談すること無く当事者だけで交渉を進めても問題ありません。
夫婦と相手方との交渉の順序
パートナーが不倫をしていることがわかった場合、まずはパートナーとの話し合いを優先したほうがよいでしょう。
不倫相手が知り合いの場合などでは、相手に直接文句を言いたくなるところですが、やはり最も身近なパートナーとの事実確認と話し合いを優先し、その後から相手方に釘を刺すという順序にしたほうが無難です。
相手方は苦しい立場を逃れるために交際の事実を認めなかったり嘘をつくこともあるため、パートナーに事実確認をしたことを相手方に告げることで観念させて交渉の主導権を握る必要があります。
こうした不倫トラブルの交渉順序としては次のような流れになることが多くなります。
(1)夫婦間で事実確認を行い、謝罪の意思を確かめる。
(2)不倫の交際相手に対して話し合いで解決を図りたいと連絡をする
(3)解決するための条件を提示する
(面会禁止の誓約や慰謝料請求の有無など)
(4)相手方に条件について検討してもらう
(5)条件について交渉を行い、合意できるように努める
(6)条件がまとまったら、その内容を示談書に記載する。
(7)示談書を作成し署名と捺印を交わす。
(8)慰謝料の支払いがある場合は、口座振込を確認する。
条件交渉が揉めて民事調停や裁判にまで発展する場合は、それらの法的手続に要する時間と費用がかかることを覚悟しなくてはなりません。(弁護士に依頼する場合は、弁護士費用を自己負担する必要もあります)。
また、不倫の損害賠償に関する算定は低水準になることが多いため、法的手続をすれば必ず高額な慰謝料が得られるというものでもありません。
示談で解決を図る場合は、加害者と被害者の双方が一定の譲歩をして早期解決を図るという側面があります。
加害者の場合は裁判時よりも高額な示談金を支払い、被害者の場合には慰謝料の金額を相手方が支払える範囲の金額に抑えるといった譲歩によって、早期解決を優先するという判断も求められます。
何よりも優先すべきことは夫婦関係の再構築ですから、高額の慰謝料を請求することにこだわって時間を浪費するのは得策とはいえません。
話し合いで確認しておくこと
交際相手との話し合いを進めていくためには冷静になることが必要です。
感情的な言葉を発すれば相手を刺激することになり、まとまる話もまとまらなくなってしまいます。
事前に確認しておきたい事項を用意しておき、それを相手方に提示して回答を待つ形にするのがよいでしょう。
具体的には、次のような事項について確認をするようにしましょう。
・不倫の事実関係の確認(交際時期など)
・慰謝料を請求するか否か(世間相場を参考に)
・慰謝料の支払い方法(振込期日や分割回数など)
・再発予防の対策(接近禁止など)
・秘密を守るための誓約(守秘義務と違反時の罰則など)
こうした条件について交渉を行い、全ての事項について合意の確認が出来れば、すぐに合意内容を文書化して示談書を作成するようにしましょう。
示談書の書き方
不倫トラブルを解決するための示談書を作成するポイントとしては、事実関係を簡潔にまとめて、和解するための条件を明確に記し、違反した場合の罰則も定めておくことです。
重要なのは、あまりに一方的な内容にするのは避けて、互いにメリットがある内容にすることです。相手方に対する厳しい要求だけを求めるものだと、反発をされて同意を得られなくなるリスクも高くなります。
客観的な事実関係のみを記載し、相手の懸念も考慮した条項を設けた方が示談書の締結手続が早く進みます。
その上で自分の要望はしっかりと記載しておく必要があります。
示談書の書き方としては、特に法令で指定されているものではなく、以下のポイントを押さえて文書化するとよいでしょう。
表題について
「示談書」「合意書」「誓約書」「協議書」など様々な表題がありますが、表題の違いによって法的効力に影響することはありません。
どのような表題にしてもよいのですが、当サイトでは「示談書」という表記にしております。
契約当事者の表示
自分と相手方の住所と氏名を表示します。
住所と氏名は住民票に記載されているものを記載します。
事件の概要
不倫関係の時期や交際期間、交際の事実を簡潔にまとめて書きます。
あまりに詳細に書き過ぎると相手方との認識の違いが生じて混乱するリスクが高くなり、だからといって重要事項に漏れがあると証拠能力が弱くなってしまいます。
必要な事項を要領よくまとめて文章化する必要があります。
和解条項
加害者側が責任を認めて謝罪し、損害賠償を誠実に行うことを条件として被害者側が和解に応じることを記載します。
損害賠償責任の承認
トラブルを解決するための条件として、加害者が被害者に対して支払う損害賠償金の金額を定めます。(慰謝料を請求しないという条件にする場合も多いです)。
損害賠償金の支払い方法
一括払いか分割払いか等の支払い方法を定めます。
一括払いの場合は、支払期日と支払い方法(現金受け渡しか銀行送金など)を記載します。
分割払いの場合は、分割回数、分割金額、支払い日、支払い方法を記載します。
また、支払い遅延を起こさないように、予防対策として遅延損害金の規定を置く場合もあります。
再発防止
不適切な交際関係が再発をしないように相手方にパートナーとの接近・連絡をしないように求めます。
守秘義務
トラブルの内容について、相互ともに第三者へ口外しないことを誓約します。
違反時の罰則
示談書に定めた規定に違反があった場合の罰則(罰金等)を予め定めておき、互いに契約内容を誠実に履行することを求めます。
締結日付
示談書に署名と捺印をする日付を記入します。
この日付の時点から契約内容が有効となります。
署名と印鑑について
署名は本人の直筆で行います。
消すことができないボールペンを使用します。
印鑑は朱肉を使うもので捺印します。
高額な賠償金を支払う場合などは実印を使用し、相互に印鑑登録証明書を添付するようにします。
以上の内容を文書化すれば、当事者間の合意事項として法的にも有効な文書として認められます。
ただし、あまりにも一方的な内容を記載した場合には、その部分は公序良俗違反と判断されて無効という扱いを受けることもあります。世間相場や一般的な公正性を意識して条件を定める努力が必要です。
自分で書類作成するか専門家の行政書士に依頼するか
このページに記載した内容に基づいて文書を作成すれば、専門家ではなくても法的に有効な示談書を作成することは可能です。絶対に専門家に依頼しなければいけないというものではありません。
ただ、限られた時間で問題を解決するための効果的な示談書を作りたいとお考えになるのであれば、やはり専門家に依頼した方が安心できる文書に仕上がります。
トラブルの当事者が文書作成をした場合、どうしても感情的になって刺激的な表現を多用してしまい、相手方の反発を受けて余計なストレスを抱えることになったり、冷静さを欠いて重要事項を抜かしてしまい後日にトラブルが再燃してしまうことも目立ちます。
トラブルの解決のためには大きな心労がかかるものですが、その仕上げ段階の示談書に不安が残ることは避けたいところだと思います。
そうしたデリケートな示談書の作成については、実績豊富な当行政書士事務所にお任せ下さい。

お客様ご自身にて相手方との協議が可能であり、両者で解決の見通しがある場合に、当事務所が最適な示談書の作成を承ります。
当事務所は2003年よりネット上で全国対応の業務展開しており、示談書の作成には豊富な実績があります。
示談書は24時間以内に納品しており、料金は一律25,000円です。
(公正証書は別料金です。)
当事務所にお任せ頂ければ、お客様の事情にあった示談書を翌日までにはお届けできます。
そうすれば、お客様のご不安やお悩みはわずか1日で解決することも可能です。
依頼内容の秘密は行政書士法の守秘義務に則って厳守します。
